当研究所の澁谷正史所長が共同研究者として参加したsFlt-1タンパク(可溶性血管内皮増殖因子受容体-1)と腎疾患に関する論文が、医学生物学領域で極めて著名な国際学術誌Cellの10月号に掲載されました。カナダのQuaggin教授の研究グループは、澁谷博士らを含む多くの研究者と共同で、sFlt-1タンパクが腎臓の機能に非常に重要であること、その欠損はヒトの腎疾患ネフローゼ症候群と類似した症状を引き起こすことを動物実験などにより明らかにしました。Flt-1遺伝子は澁谷博士のグループが東大医科研において初めて見出し、1990年にFlt-1と命名して報告したものです。
今回Quaggin教授らは、澁谷博士らが1998年に作成したFlt-1受容体シグナル欠損マウスをもちい、また、討論を重ねて貴重な結論に到達しました。
論文名:
Jin J, Sison K, Li C, Tian R, Wnuk M, Sung HK, Jeansson M, Zhang C, Tucholska M, Jones N, Kerjaschki D, Shibuya M, Fantus IG, Nagy A, Gerber HP, Ferrara N, Pawson T, Quaggin SE. Soluble FLT1 Binds Lipid Microdomains in Podocytes to Control Cell Morphology and Glomerular Barrier Function. Cell. 2012 Oct 12;151(2):384-99.
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